【講義note Day0】GLOBIS リーダーシップと人材マネジメント基礎

※この記事は「GLOBIS リーダーシップと人材マネジメント基礎」で私が学んだことを、自分なりの解釈を交えて書き記すメモです。

Day0は事前課題として『グロービスMBAマネジメント・ブック 改訂3版』を読んで学んだこと、その他の教材と合わせて、主に組織行動・リーダーシップ・マネジメントに関して学んだことを記します。


ヒトのマネジメントとは?

    • 経営資源とはヒト、モノ、カネである。
    • 組織はこれらを最適に采配(マネジメント)して組織目標を達成しようとする。
    • ヒトという経営資源のマネジメントは組織の目標達成をサポートする施策の集合である。
    • 活用方法が状況依存的かつ多様的であり、「こうするべき」という考えが結果に繋がりにくい点が特徴である。
    • ヒトという経営資源が活用されるのは「①戦略を構築する局面」と「②それを実践する局面」の2である。

近年、ヒトのマネジメントに注目が集まっている理由は大きく2つある。1つ目は、事業環境変化に対応するには個々人が戦略目標を理解して迅速かつ的確に意識決定できることが必要不可欠だから。2つ目は、技術をはじめとして様々な領域でオープン化が進む中、競争優位の源泉が知識や知恵へとシフトしているからである。


HRM「人的資源管理」

人・組織のマネジメント方法に「人的資源管理(HRM:Human Resource Management)」という考え方がある。これは「仕組み」を作ることで人や組織に働きかける点が特徴的なメソッドだ。

ここで注意したいのは、HRMを実行する主語は個人ではなく「企業」ということだ。企業は次の4つの要素を設けてマネジメントを試みる。まず最初にポリシー(ビジョン達成のために組織がどうあるべきか示すもの)。2つ目は人員配置、3つ目は人員役割(どのように活用して管理するかと記載されているが、私はこれを「役割」と解釈した)。最後に4つ目が組織文化。(ポリシーとどう異なるのか?組織文化は後天的なものではないのか?と疑問も生じるが、個人の行動規範によりフォーカスした内容だと捉えればよい)。

あなたの組織はこれら4つを示しているか?それらは適切か?1度見直してみると良い。


リーダーシップとは?

    • リーダーシップとは「組織目標を達成するための行動を取るよう、組織内の個人に影響を与える機能」である。
    • リーダーシップは変化に応じて迅速に新しい方向性を打ち出す
    • マネジメントは環境が安定している状況で組織目標を遂行する
    • リーダーシップは変革を推し進める
    • マネジメントは効率的に組織を運営する
    • リーダーシップはビジョンを提示する
    • マネジメントは計画や予算を立案する
    • リーダーシップはメンバーの動機づけをする
    • マネジメントは予実管理をして問題解決を図る
    • リーダーシップは変化を乗り来る
    • マネジメントは複雑な環境を乗り切る

どうやってリーダーシップとマネジメント能力を獲得するか?

ごくシンプルな3つのアクションで獲得可能とされている。

    1. 目的と目標を決める
    2. 目的を達成するための人的ネットワーク(組織)を築く
    3. 2で築いた組織が目的を達成できるように手を打つ

これは個人的な意見だが、このとき「自分が誰よりも頑張る」といったニュアンスがどこにも登場していないのが印象的だ。思うに、リーダーシップやマネジメントとはリソースの最適化問題を解く営みと解釈すればわかりやすいのかもしれない。


エンパワーメントリーダーシップとは?

リーダーが全てを把握して意思決定するのは困難であり、資源最適配分の考え方からも好ましくない。どうすれば自分が目の届かない現場において最適な意思決定に基づいた行動をしてもらえるか工夫が求められる。このとき、権限移譲をして目標と支援を通じたコントロールにより、現場で意思決定させるエンパワーメントリーダーシップが有効である。

エンパワーメントリーダーシップは一言で言えば「自律性の支援」である。できる限り自分で考えさせ、意思決定をさせることが不可欠である。

「餓えている人がいます。あなたは魚を釣ってあげますか?それとも、釣り方を教えてあげますか?」という有名な問いかけがある。エンパワーメントリーダーシップの観点ではどちらが正解なのか、言うまでもない。

おおまかなプロセスは以下の通り

    1. 組織の目的・ビジョンを共有する
    2. メンバの業務遂行能力と特性を把握する
    3. 業務目標と育成目標を設定しながらアサインする
    4. フィードバックと支援をする

よくある失敗としては①目標を明確に示してない、②評価とフィードバックをしていない、③能力を超えた仕事を任せている、④権限移譲と言いながらも部下の行動を細部まで管理する、といったパターンが挙げられる。

なお、取るべき判断や行動の指針を作り上げ、自律性を促すという観点では、組織文化の形成もかなり有効的である。直接的に改変はしにくいが、間接的に働きかけて組織文化をコントロールできると良い。

少し観点を変えて、環境変化が激しい昨今では、過去の成功に囚われず、むしろ自ら進んで変化を生み出し、変化に自律的に対応する「自己変革型組織」が求められる。そのような観点でもエンパワーメントが有効である。


モチベーションとは?

どのようにしてヒトは動機づけられるのかを解明しようとする研究をモチベーションの過程説という。動機づけのプロセスを解明して、再現性を担保できれば、特定の手法によってヒトを動機づけることが可能となる。

過程説でポピュラーなものに目標設定理論がある。よくMBOとして企業に取りれられている手法で、以下4つの要素によりヒトを動機づける。

    1. ある程度挑戦的なストレッチ目標の設定
    2. 目標の具体化
    3. 自らによる目標設定
    4. 途中過程でのフィードバック

ただし、これらの4つの要素を正しく取り入れず、ストレッチした目標を取り入れただけで、フィードバックや自発的目標設定をさせていない、「カタチだけのMBO」が溢れているのが現状である。

繰り返しになるが、これら4つの要素が揃って初めてMBOは機能して、ヒトを動機づけられる。


上司と部下とモチベーション

過程説では、目標設定やフィードバックが重要であることから、個人のモチベーションが上司と部下のコミュニケーションに大きく依存しているとわかる。モチベーションのメカニズムを正しく理解して、正しくコミュニケーションすることが求められる。


キャリアデザイン

個人として譲れない価値観を把握するのは、今後のキャリアを考える上で非常に有用である。診断方法の1つにキャリアアンカーなるものがある。下図は筆者のキャリア・アンカー診断結果である。

キャリア・アンカー診断は、このサイトhttps://chikaku-navi.com/carrier/で無料診断可能なので、ぜひやってみてほしい。


集団の特徴とマネジメント

集団では徐々に「メンバーが従うべきと考えている暗黙のルール」が形成され、メンバーが他のメンバーにプレッシャーを与えて従わせるようにし始める。この暗黙のルールを規範と呼ぶ。規範にはポジティブなものとネガティブなものがあり、もしも集団で暗に形成されている規範がネガティブなものであれば、容易ではないが変革しようと行動するべきである。

集団にとどまりたいという気持ちを凝集性と呼ぶ。凝集性が高まるほどメンバは集団目標の達成に向かっていっそう努力するようになる。凝集性を高めるためには目標への合意が重要。他には、集団を小規模に保ったり、集団で過ごす時間を増やしたりといった手段が有効である。

つまるところ、パフォーマンスを向上させる施策は「人員の組み合わせ」と「凝集性」の2つだとされる。であるならば、まず、不足スキルを相互補完できるようにメンバを最適配置+適切な役割を与える。そして、具体的な目標設定と合意形成をする(必要に応じて権限移譲してコミットメントを強める)ことが重要となる。


コンフリクト

最も日本人が嫌いなイベントの一つはコンフリクト。つまり他者との競合・対立・軋轢であろう。しかし、コンフリクトはネガティブな面ばかりではない。ときにコンフリクトはアイデア創造や問題発見といったポジティブな効果を生む

組織内でコンフリクトが生じたときは、新しい気づきを得る機会だとポジティブに捉えると良い(でないとストレス過多になる)。

なお、コンフリクトの解決方法は案外単純である。なぜなら2つの方法いずれかで基本的に解決できるからだ。1つ目は状況そのものを変えること。2つ目は当事者の態度や対応を変えること。

組織構造

最近はマトリクス型組織が流行っているようだが、責任が曖昧になる点が課題として指摘されている。

参考:マトリクス型組織 引用元:https://www.reloclub.jp/relotimes/article/11852

事業戦略構築では考え抜くことよりファシリテートが重要

とあるコンサル企業によるイノベーション戦略構築研修なるものを受講しました。研修費用がいくらだったのか考えるのも怖いですが(※会社手配なので私は知らない)、貴重な学びの機会だったのでメモ書きを残したいと思います。

仮説は構築と検証、山と谷を繰り返す

事業戦略構築は、情報収集と情報分析により自分なりの仮説を構築するフェーズと、エビデンス収集やヒアリングにより仮説の妥当性を検証する2つのフェーズから成り立ちます。この「仮説構築」と「仮説検証」を繰り返して顧客課題や顧客価値やアプローチを特定して、事業戦略をブラッシュアップしてきます。

仮説には構築と検証のサイクルだけでなく、山と谷のサイクルも異なる周期で同時存在します。これは、仮説が構築できたとき、喜ぶのもつかの間、あまりに一般論過ぎたり抽象的すぎたり競合差別化要素がなかったりして、仮説が出来上がった瞬間の輝きが一瞬で失われること、まるで山を頑張って登りきったらすぐ谷に突き落とされるような現象のことです。

谷に落ちるのは事業戦略構築が正しく進んでいる証拠でもあり、検討が順調に進んだ結果、どんどん新しい観点に気づいて、仮説が色褪せて見えるというだけです。粘り強く、この谷の状況を乗り切って山を登りましょう。こうしながら事業戦略は具体性を増して実現できそうな内容に仕上がり、オリジナリティが増して競合差別化できそうな内容に仕上がってきます。

ここで重要なのがファシリテート能力

ここまで、仮説の構築と検証、山と谷を繰り返しながら、事業戦略が仕上がっていくと説明しました。ここで重要なのがサイクルを滞りなく回すためのファシリテート能力です。(もし、たった1人だけで事業戦略構築されてるのであれば「ファシリテート能力→タイムマネジメント能力」と読み替えてください)

よくありがちなミスは、いつまでも仮説の構築をしていて検証に進まないパターンです。考えるだけでアウトプットをしない、行動を起こさない状況とも言いかえられます。特に、完璧主義な人、真面目すぎる人、中途半端に賢い人によくあることで、先を深読みしすぎて「あれもダメ、これもダメ」と、仮説をいつまでも構築しなくなります。これではサイクルが回りません。

そこで、苦しくても時間を決めてとにかく仮説を構築するようファシリテート能力が重要になるわけです。

とにかく仮説を出して構築→検証フェーズに移行する

完璧じゃなくても、満足できなくても、時間を決めたなら強制的にでも仮説を構築して検証フェーズに移る、着地点を見つける。現時点でいきなり完璧な仮説を構築するよりも、検証サイクルを回すことを優先する。これが上手な事業戦略構築の進め方です。(このために、フレームワークを活用した強制思考や、議論観点のレイヤを1段階広くするといったテクニックもあります。)

Done is better than perfect! (完璧を目指すよりまず終わらせろ)という言葉もありますが、まさにそれです。完璧ではない感じている仮説を他者にぶつけるのは勇気がいりますが、Done is better なのです。

完璧な仮説が今は出来上がらなくとも、取り組みの中で重要視している観点から優先順位を決めて、最もBetterな仮説を選択して検証する。いつまでの仮説をアウトプットせず1人で悩んでいるよりも、上手にファシリテートして、ときには強制的に進行させたほうが、きっとよりよい事業戦略構築ができます。

完璧主義は時間をかけて最小価値を獲得するコスパの悪い行為

完璧主義やめました。そのきっかけは私にとって衝撃的だったこの言葉です。

「完璧主義者になることは、働きすぎて最小限の価値しか得られないということを意味する。」

これは、ニ八の法則に基づくと、完璧主義で詳細を詰め切る行為は、80%の労力をかけて20%の価値を獲りに行く、非常にコスパの悪い行為ということです。

ニ八の法則

ある取り組みにかかる20%の行動によって価値の80%が得られる法則をニ八の法則と呼びます。

  • 売上の8割は、2割の顧客から来る
  • よく使う書類の8割は、2割のファイルに入っている
  • 本の内容の8割は、2割の文章量で理解できる

ここで注目すべきは、20%の行動によって80%の価値を得たとき、残った20%の価値を得るには残った80%の行動が必要という点です。両者を比べるとコスパは16倍の差があります(計算してみてください)。完璧主義とは、このような状況下で80%の行動を費やしてでも20%の価値を得ないと気がすまない状態です。

もちろん、100%の仕上がりを求められる仕事も存在しますが、本当にそうなのか自分自身に1度問うてみてください。必要以上のことをしていないか?無駄なディティールに囚われてないか?きっと80%の価値で十分に進められる仕事の多さに気づきます。

やることリストは、全てこなすことが目的ではない

脱完璧主義のために、少し視点を変えて、いかに「やらないこと」を見極めることが重要か述べさせてください。

1日の始まりや終わりに「やることリスト」を書き出すことは時間を効率的かつ有効に使うために大きな効果があります。書き出した1つ1つのやることに優先順位をつけるとなおさら良いです。ただし、やることリストを作成した後は、優先順位の高いことから着手して時間を有効に活用することが目的であり、書き出した項目を全てこなすことが目的ではありません

せっかくやることを書き出して優先順位を決めたのに、優先順位が低いことのコンプリートに労力をかけるのはもったいないので、他の誰かに頼むなり、やらなくても済む方法を探したほうが良いです。実際、やらなければいけないと思っていても、案外そうでもなかったりします。「もし、これをやらなかったら何が起こるのか?」と自問自答しましょう。

重要なのは自分の時間を有効に使うこと

仕事もやることも情報も、なにもかもが溢れている現代です。脱完璧主義によって最高の時間の使い方をマスターして、みなさまが自己実現できることを願ってます。

以下、参考書籍

足ることを知れば、ちょっとしたことで大きく満たされる

COVID19で経済悪化や不安が広がっているこのご時世だからこそでしょう、京都の大垣書店では「心配事の9割は起こらない」という1冊の本が大きく取り上げられていました。

なかなかキャッチーなタイトルに思わず「え〜、そうなのかなぁ、言われてみればそうかも」などと思いつつ手にとって読んでしまいました。

その中で、よさげな言葉群の中から1つだけ特に強烈だった言葉が「足ることを知る」です。

自分のやりたいことがあり、どんなときに満たされた状態になるのか、「足ること」を知れば心は安らかで幸せを感じられる。その一方で、取り立てて目的や欲しいものもないのに、お金を追い続けて、いつ満たされるのかわからない、いつまでも満たされない姿は不自由である、と述べられています。

もちろん、成功したい!という気持ちを抱え、高い目標を掲げてトライすることは素晴らしいことです。この言葉はそういった志を否定するものではないでしょう。ただ、手段が目的化したり、満たされることのない欲を掲げるのは控えようということですね。

目的や自分のやりたいことを持ち、何をもって自分自身は満たされるのか見失わず、挑戦する生活を送りたいものです。

ガートナー「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル 2020」について考察

またこの季節がやってきましたね、ガートナーによるインパクトをもたらす技術の考察です。

ガートナー、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」 https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20200910

今回、やはり注目はデジタルヘルスとロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)です。他サイトでも述べられていますが、COVID19影響でやむを得ない規制緩和・テレワークや遠隔業務の半ば強制的な普及・業績リカバリのための効率化推進といったところが一気に進みました。RPAについては「実際に使ってみた」という企業が急速に増えたので、「なるほど、こんなもんか」といった状況になったのでしょう、ガートナーの図でも「過度な期待」の時期を通り過ぎている点が印象的です。

デジタルヘルスケアは医療関連の規制緩和や、個人データの扱いに関する制度整備によって、いっそうできることが増える予感がしますね。これまではプライバシーなどの観点で個人に関するデータをハンドリングしにくかった点が、目的次第では規制緩和されていくことも予想されます。

5Gや量子コンピューティングは、その技術レベルに見合った課題・目的が見つかるかどうかが鍵になります。別にいまのコンテンツや通信環境で満足しているならば4Gでもいいわけで、セキュリティの課題だったり、ARやVR、またはオンライン化による大容量通信のニーズと課題あったりが台頭すると、やっと価値を生むのでしょう。量子コンピューティングも同様に、何に使うのか、を見つけられるビジネスマンがどれだけ今度出てくるかが鍵ですね。

黎明期にAIプラットホームが挙がっていますが、これが何を具体的に指しているのかちょっと疑問です。よくあるGUIベースで「素人でもAI開発できます!」といった類だとすると、私はなかなか懐疑的です。きれいに整ったデータしか入力できなかったり、ちょっと凝ったモデルは実装できなかったり、なによりモデリング手法やテクニックは今後も進化を続けそうなので追従できないのではないかと思っているからです。

人工知能は過度な期待を過ぎたとあります、これには研究者の私も納得(まだ若干、期待値がオーバーな印象は残りますが)。人工知能単体ではなくデータや運用とセットで検討したり、日立などいくつかの企業がAIコンサルティング+導入支援のサービスビジネスを始めたりと、人工知能の特性や条件を把握したうえで社会実装が進み始めたと感じています。

“課題は解くものではない!” エンジニアが新規事業創造本部に2年間出向して見えたこと

“課題は解くものではない”

これが、ソフト開発や、IoTシステム設計や、機械学習の研究など、エンジニアや研究者としてバリバリ技術どっぷりなキャリアを積んできた私が、新規事業創造本部に2年の出向をして気づいたことです。

もう少し正確にいうと “課題は解くものではなく形成するもの” ということです。これは私の師匠からの「険しそうな山があったので頑張って登ってみました、みたいな研究テーマはダメ」という言葉にも似ていて、思考が素早くて実行能力の高い優秀な人材ほどハマりがちな罠です。


2017年の3月、私はお客様のデータを分析する日々を過ごしていて、次年度はどんな手法を適用しようかなどと無邪気に考えていた所に2年間の出向が伝えられました。まぁまぁ突然でした。

しかも技術系の部署ではなく新規事業創造本部、しかも新設の部署、しかも京都じゃなく東京、なんかもう環境が変わりまくりです。

異動先では事業実現するための技術アプローチを設計するという技術者らしい役割を与えられました。しかし、ゼロから事業を作っていく段階なので、ある程度アイデアが形になるまでは手を動かす仕事はお預け。私が生み出すものは商品でも技術プロトでもなく多産多死のアイデアとパワポ。チームメンバと「こんな事業はどうだ」「ここにチャンスがあるのでは!?」と議論する日々でした。

外部コンサルに論破されたり、外部コンサルを論破したりするうちに、pptをキレイに作る方法が身につき、従来以上にショートカットキーを使いこなすようにもなりました。何をやっているんだ自分はと思ったこともあります。


大きな気づきの機会となったのはCTOとの初ディスカッションです。チームで考え抜いた渾身の事業仮説プレゼンに対して、CTOからのコメントはシンプルな3つのクエスチョンのみでした。

“顧客は誰?価値は何?競合にどう勝つ?これをちゃんと示せ”

ああ、なんかもう、序盤からズレてたんだな。。。そんな気持ちになりました。自分でもビックリするのは、新規事業を考えているうちに3つのシンプルかつ最重要なクエスチョンを見失うことです。これは注意していてもいつの間にかやってしまうというタチの悪いものです。

どう儲ける?自社にできる?差別化は?と考えていると、知らず知らずのうちにHowにフォーカスしてしまい、解決すべき課題の特定や課題の具体化が未完のままHowの発想ばかり加速します。

この罠にハマりやすい大きな理由としてHowを考えることは夢が広がるようで楽しく心地よいことが挙げられます、だから本当にタチが悪い。そして、完成した美しい事業ストーリーを、Howを考える快感の外側から見たときに「で、これって人々が最も求めるものなの?ただの自分が一番やりたいことじゃないの?」となってしまうのです。


よくよく考えると新規事業創造だけでなく研究や開発でも同様です。別のシーンで次のような経験をしました。

学会聴講中にアイデアを閃き、意気揚々と技術部署の後輩に話を持ちかけ、その技術検証に乗り出そうとしたときです。決裁者の言葉はこうでした

“技術のImproveがあるのは認める、ただし顧客にとってのImproveが見えない”

またやってしまった、、、orz そんな気持ちでした。

まだ誰もやってない、まだ解決されていない、そんな問題を解けば役に立つだろうし論文にもなるだろう、高度なカッコいい手法で解決してやる。そんな考えが私の中にあったのです。師匠からの「険しそうな山があったので頑張って登ってみました、みたいな研究テーマはダメ」という忠告の通りでした。


このような経験を通して私が今後大切にしていきたい、そして皆様にお伝えしたいことは「課題は解くものではなく形成するもの」ということです。

世の中には課題がたくさん溢れていますが、解決する価値がある課題は一部分のみだったり、まだ顕在化していなかったりします。

解決する価値のない課題を、かっこいい手法を考えて検証を重ねて見事に解決したところで誰も喜びません。汗水流した達成感だけ残るので本人はいい気分だし、かえってそのせいで価値を認めない他人を馬鹿だと罵るかもしれません

大切なのは解決する価値のある課題を見極めること。または、まだ誰も気づいていない課題を見つけ出して形成することです。


いま私は京都に戻って少数部隊の研究所でアシスタントマネージャーを勤めています。大好きな京都で楽しい楽しい研究に打ち込む事になりますが、メンバーも含めてこの教訓を忘れずにいようと思います。

最後に、この学びを共有することで皆様の活動に役立てられれば幸いです。

ICLR2019読み会in京都に登壇しました

ちょっと遅れながらの更新ですが、6月2日に京都オムロン本社で開催されたICLR2019読み会に登壇しました

リンク:ICLR2019読み会in京都

 

私の発表はさておき、ABEJA白川さんのゲスト講演が最高におもしろかった(学術的な興味と笑いを取るという二重の意味でおもしろかった)ので、ここにメモしておきたい。

 


ヒトの機械学習

第1部は、店舗ソリューションの話、年齢推定がなぜ難しいかという話。

第2部は、アノテーションを正確にすることの重要性の話。

第3部は、感情推定と双曲空間の話。

個人的に気になったのは2点、アノテーション品質を定量的に測ることが出来るのメトリックが求められるようになってきているのではないか?、そして平面と球面と双曲空間の使い分けについて(それぞれに適した典型的なデータ例は何か?)

前者についてはその場で質問させて頂き、メトリックの必要性は勿論YESで、センサ側とあわせて一緒に努力を重ねていこうという結論に。


私の発表

25分の論文紹介だけでなく、LT枠でも発表しました。幸いにもたくさんのご質問を頂戴して、多くの方に発表内容をご理解いただけたのかなと思いました。

質疑応答も途中で誤魔化さずちゃんと徹底的に議論できますた。関東から参加してくださった学生様からとても詳細で鋭い質問を頂きました。おかげで楽しいディスカッションが出来たと同時に、周囲の理解も深まったように感じます。(ありがとうございました)

 

 


 

コンセプトとして学術的な内容を現場価値に繋げるというものがありまして、論文内容の理解に留まらず、どんな使い方があるか?誰にとって役立つかということまで議論ができて、今回もとてもよい1日となりました。

運営の皆様、ご発表の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。

量子コンピューティング ~理論と仕組みとビジネスインパクト~

お久しぶりです、ロードローラーです。最近、縁あって量子コンピューティングについて聞く機会があったので、これを機に調査&まとめを作成しました。結論から言うと量子コンピューティングによる現在見えているインパクトは計算処理の飛躍的向上によって指数関数的に計算量が増大するような問題を解けるようになること。特に注目されているのは①組み合わせ最適化問題、②複雑なシミュレーションの実行です。


■量子コンピューティングとは

京都産業大学のコチラのサイトが非常にわかりやすいです。(https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st14_03.html

従来コンピューターのビットは1か0のどちらかを表しますが、量子コンピューターで使われる「量子ビット」は同時に1と0の両方であり得るという性質を持ちます。表現できるパターン数が2のn乗(nはビット数)という点に変わりはありませんが、同時に1と0の両方であり得るという重ね合わせ表現によって、複数のパターンを同時に検証できるようになります。

例えば2ビットのとき、パターン数は(0,0), (0,1), (1,0), (1,1)の4つです(これは従来も量子も同じです)。ただしこれら4パターンを検証するときに従来のコンピュータだと4パターンを評価関数にかけるので計算が4回必要でしたが、量子コンピューティングでは4状態の重ね合わせに対して計算することが可能なので、いわば1回の計算で4パターンを評価できてしまいます。

正確には、複数状態を同時に計算できても、一度測定すればどれか1つの状態が確率的に選択されるので、欲しい答の状態だけを取り出す工夫(欲しい答が測定により選択される確率を高める)が必要です。


■計算量と指数関数

例えば配送員が50地点に荷物を届けるとき移動ルートのパターンは50!=30,414,093,201,713,378,043,612,608,166,064,768,844,377,641,568,960,512,000,000,000,000通りあります。

最も移動が効率的になるような移動ルートを算出したいとき、人間なら直感的にいくつか最適そうなルートにアタリをつけて検証することも可能でしょうが、厳密に最適化パターンを発見するには全選択肢について計算する必要があります(人工知能のフレーム問題とちょっと似ていますね)。

このような膨大な計算には従来コンピュータでは数年かかる、組み合わせの規模によっては数兆年かかるものまであり、解けない問題の1つとなっています。(そこで、実際には効率的に近似解を求めるアルゴリズムなどが提案されています。)


■ビジネスインパクト

よく話題になるのが次のものです

①組み合わせ最適問題を解決して効率向上

②複雑なシミュレーションが実行可能となり未知の問題を解決

③パスワードクラックなどデータセキュリティ

①については前述したとおり、組み合わせ最適問題について全選択肢を検証可能となり最適化社会がより促進されるであろうという説です。これについては私も賛同ですが、ビジネスインパクトは弱いと思います。Before-Afterで差分を考えると近似解が最適解になるだけの変化なので、量子コンピューティングの導入コストに見合うメリットなのか適切な見極めが必要です。

②については私は非常に楽しみです。分子科学の分野でより複雑なシミュレーションが可能となると新薬開発の新たな扉が開く予感がします。(調べてみましたが分子シミュレーションはスパコンでも電子43個くらい規模しかシミュレーションできないそうです)

③については盗み聞きしなくても量子コンピューティングで全通り試せばパスワードを突破できてしまうような世界が到来しえるので、パスワードがなくなって生体認証の普及がさらに加速するかもしれませんね。指紋も行ってみれば2次元画像なのでクラック可能だったりするんでしょうか?そのあたりは素人なのでわかりませんが、自分を証明するための技術に注目が集まると思います。


いかがだったでしょうか?過熱気味ともいわれる量子コンピューティングですが、正確な理解と真剣な検討は1度してみてもよいかもしれません。

ICML@Stockholmに参加しました(開催概要)

ICMLとは


正式名称は『International Conference on Machine Learning』。毎年開催される機会学習のトップカンファレンスです。

 

開催地:Stockholm smassan


2018年は北欧のスウェーデンにて開催されました。メタルとギターポップの国ですね(偏見)。水の都ストックホルムということで心躍らせた人もいたのではないでしょうか?

会場はStockholmsmassan。ストックホルム中央駅から3駅のÄlvsjö駅からすぐの場所です。

周辺に施設が少なくランチに不便する場所でした。昼休憩には大量の昼めし難民が出現、ストックホルム中央駅まで昼食のために電車移動せざるえなくなり、そのまま午後のカンファレンスに遅刻した人も多かったとか。

 

スケジュール


2018年は”7月10~7月15日”の5日間で開催されました。初日がTutorial、それから3日間の本会議、最後に2日間のWorkshopです。

学会前にはスケジュール管理アプリなども配布されます、これが本当に良く出来てました。

 

Reception


最終日にはReceptionが行われました、場所はSkansenMuseum。どんなパーティーだろうと思って参加したらなんと屋外ステージ付きで4つ打ちの低音をズンズン響かせながらビールをあおるという最高仕様でした、パリピ感がすごかったです。

日付が変わるころまで日が沈まないまま明るいので22時頃まで屋外でReceptionは続きました。ところで学会会場からReception会場が遠すぎません???

参加登録


ICMLの開催は7月中旬ですが、Registrationは3カ月前の4月中旬に始まります。NIPSほど速攻ではなかったにせよ、今回もSOLD OUTによって参加できなくなった人が多数出たようです。

参加費用はEarly Registrationでworkshopとtutorialも全て含めると900ドル。

マーケットインとプロダクトアウト

マーケティングを勉強してれば必ず耳にする「マーケットインとプロダクトアウト」について簡単にまとめます。


プロダクトアウト

・技術ありきの戦略。
・企業側の思想に合わせた開発。
・提供側の発想で商品開発を行うこと

スティーブジョブズの有名な言葉に「多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」とあるように、イノベーションを起こすにはプロダクトアウト観点は必須です。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」というヘンリーフォードの言葉もありますね。

なによりプロダクトアウトのいい点は、技術起点の開発のため他社に真似されにくい製品やサービスを世に送り出すことに長けている点です。


マーケットイン

・顧客ありきの戦略。
・売れるものを創ろうとする開発。
・顧客側の発想で商品開発を行うこと。

顧客要望を無視してやりたい開発だけを進めることは独りよがり、また、博打のようなもので、マーケットインの視点が堅実な利益へとつながります。


筆者の意見

ロードローラーさんの意見としては、やはり自身が技術者ということもありプロダクトアプトの視点が強いですね。他社に真似されてコモディティ化されると価格競争にしかならないので。

マーケットインを主体で進めるとしたら、市場で1番乗りになることを目指し、他社が追いかけてきたころには次のマーケットを見つける機動力を持つ必要がると思います。


注意点

マーケットインとプロダクトアウトは対立する思想ではなく、両方の考え方を同時に適用することは可能です。むしろ同時に持つべきです。