量子コンピューティング ~理論と仕組みとビジネスインパクト~

お久しぶりです、ロードローラーです。最近、縁あって量子コンピューティングについて聞く機会があったので、これを機に調査&まとめを作成しました。結論から言うと量子コンピューティングによる現在見えているインパクトは計算処理の飛躍的向上によって指数関数的に計算量が増大するような問題を解けるようになること。特に注目されているのは①組み合わせ最適化問題、②複雑なシミュレーションの実行です。


■量子コンピューティングとは

京都産業大学のコチラのサイトが非常にわかりやすいです。(https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st14_03.html

従来コンピューターのビットは1か0のどちらかを表しますが、量子コンピューターで使われる「量子ビット」は同時に1と0の両方であり得るという性質を持ちます。表現できるパターン数が2のn乗(nはビット数)という点に変わりはありませんが、同時に1と0の両方であり得るという重ね合わせ表現によって、複数のパターンを同時に検証できるようになります。

例えば2ビットのとき、パターン数は(0,0), (0,1), (1,0), (1,1)の4つです(これは従来も量子も同じです)。ただしこれら4パターンを検証するときに従来のコンピュータだと4パターンを評価関数にかけるので計算が4回必要でしたが、量子コンピューティングでは4状態の重ね合わせに対して計算することが可能なので、いわば1回の計算で4パターンを評価できてしまいます。

正確には、複数状態を同時に計算できても、一度測定すればどれか1つの状態が確率的に選択されるので、欲しい答の状態だけを取り出す工夫(欲しい答が測定により選択される確率を高める)が必要です。


■計算量と指数関数

例えば配送員が50地点に荷物を届けるとき移動ルートのパターンは50!=30,414,093,201,713,378,043,612,608,166,064,768,844,377,641,568,960,512,000,000,000,000通りあります。

最も移動が効率的になるような移動ルートを算出したいとき、人間なら直感的にいくつか最適そうなルートにアタリをつけて検証することも可能でしょうが、厳密に最適化パターンを発見するには全選択肢について計算する必要があります(人工知能のフレーム問題とちょっと似ていますね)。

このような膨大な計算には従来コンピュータでは数年かかる、組み合わせの規模によっては数兆年かかるものまであり、解けない問題の1つとなっています。(そこで、実際には効率的に近似解を求めるアルゴリズムなどが提案されています。)


■ビジネスインパクト

よく話題になるのが次のものです

①組み合わせ最適問題を解決して効率向上

②複雑なシミュレーションが実行可能となり未知の問題を解決

③パスワードクラックなどデータセキュリティ

①については前述したとおり、組み合わせ最適問題について全選択肢を検証可能となり最適化社会がより促進されるであろうという説です。これについては私も賛同ですが、ビジネスインパクトは弱いと思います。Before-Afterで差分を考えると近似解が最適解になるだけの変化なので、量子コンピューティングの導入コストに見合うメリットなのか適切な見極めが必要です。

②については私は非常に楽しみです。分子科学の分野でより複雑なシミュレーションが可能となると新薬開発の新たな扉が開く予感がします。(調べてみましたが分子シミュレーションはスパコンでも電子43個くらい規模しかシミュレーションできないそうです)

③については盗み聞きしなくても量子コンピューティングで全通り試せばパスワードを突破できてしまうような世界が到来しえるので、パスワードがなくなって生体認証の普及がさらに加速するかもしれませんね。指紋も行ってみれば2次元画像なのでクラック可能だったりするんでしょうか?そのあたりは素人なのでわかりませんが、自分を証明するための技術に注目が集まると思います。


いかがだったでしょうか?過熱気味ともいわれる量子コンピューティングですが、正確な理解と真剣な検討は1度してみてもよいかもしれません。

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